鍼灸師の雑談

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腹診と腹治3

前回は運搬調節についてお話をしました。
今回は「免疫・吸収」右下腹部についてお話をします。

右下腹部には
・盲腸(虫垂)
・小腸・大腸
・卵巣・子宮
・腸腰筋
等の反応が診れる部位になります。

消化器、婦人科、腎・泌尿器、心因性など様々な疾患の原因が
考えられる部位となります。

最近、若年層に多い疾患で「過敏性腸症候群(IBS)」
便秘・下痢・ガス型・混合型、同じ症状でも
患者さんによって異なりますが
共通するのは右下腹部の圧痛である。

そもそも過敏性腸症候群とは
私の考えでは、精神的なストレス・緊張による交感神経が優位となり
免疫が異常に興奮することで、細胞が正常な働きを失い
胃腸が正常な働きできなくなっている状態と思われます。

その際に重要なのが「免疫」に関する内容になります。

右下腹部の反応原因として以下のことが言えるのではないでしょうか?

・回腸

小腸は十二指腸から続く管で、小腸の上部2/5を空腸、小腸の下部3/5を回腸という
消化された栄養素の大半が小腸で吸収されます
回腸の粘膜にあるパイエル板(集合リンパ小節)が免疫細胞の機能調節されていると言われています。
パイエル板にはM細胞という特殊化した細胞を持ち、M細胞は細菌や未消化の飲食物等を内部に取り込む働きをする。
回腸は、免疫機能と消化吸収を担っている場所と言えます。

・盲腸から細く伸びる”虫垂”

虫垂に存在する”虫垂リンパ組織”からIgAの産生に重要な場である。
大腸の腸内細菌バランスに関与している。
※IgA…抗体(免疫物質)
消化器や呼吸器などに存在する。細菌と結合し運動性を弱める働きを持つ。

・回盲弁

小腸と大腸の境には回盲弁(バウヒン弁)という弁があります。
小腸から大腸には内容物が通りますが、逆流する仕組みとなっております。
回盲弁は自律神経によって開閉されていますが
何らかの原因で自律神経が不安になることで、回盲弁の働きに支障がでる可能性があります。大腸に流れた内容物が小腸に逆流するため様々な症状が発症するとされています。


回盲弁症候群脱水症状
動機
心臓の粗動活動時の胸部痛
偽性メニエール症候群
偏頭痛
就下性浮腫
右側の肩首腰の痛み
首のコリ
めまい
耳鳴り
吐き気
失神
偽性副鼻腔感染症
急激な口渇
目の下のクマ
全身の痛み

右大巨(胃)・右腹結(脾)・右五枢(胆)
私自身の経験ですが、多く反応を診るツボになります。

体に力が入りやすい方、緊張しやすい方、考え溜め込む方などは
まちがいなく右下腹部を押すと圧痛を伴う場合が多いです。
さらにパーキンソン病の患者さんの多くに右下腹の反応があります。

ストレス・緊張

交感神経優位になる

内臓の働きが悪くなる

自律神経のバランスが崩れる

免疫細胞に異常をきたす

小腸及び大腸の免疫細胞が正常な働きできなくなる。

右下腹部の反応が出る

この流れがあるのではないかと私は思います。

2025年03月18日

腹診と腹治2

前回に引き続きのお話になります。

上記の内容は、東洋医学と西洋医学基礎・理論の考えを組み合わせた

私の考える腹診であります。

私の考えであるため、見る方には当てはまらないこともありますが

こんな考えもあるのかと見て頂ければ幸いです。

長くなるためパート4に分けてお話をします。

①運搬の調節

右側の季肋部には「肝臓」があります。

西洋医学の働き 東洋医学の働き
代謝と解毒 気の流通調節
胆汁の生成 血の貯蔵
血液の貯蔵
筋の運動機能調節
栄養素の貯蔵 精神活動の安定

肝臓は横隔膜と腹壁から伸びる膜(肝鎌状間膜)によって支えられています。
肝臓の機能が低下することで、肝臓の動きが悪くなり臓器を支えている横隔膜の
働きも悪くなることが考えられます。
さらに横隔膜は肋骨・胸骨・腰椎に付着し、呼吸運動に合わせて連動しています。
呼吸運動の低下(呼吸が浅くなる)による腹式呼吸を行うことが難しくなります。
それに伴い、横隔膜は硬くなり季肋部が硬くなる状況が発生すると考えます。
これが東洋医学の腹診で診る「胸脇苦満(きょうきょうくまん)」所見の原因に
繋がっているのでは、ないかと私は思います。

肝臓は脂肪の消化・吸収に重要な役割を果たす「胆汁」を、生成しています。
胆汁が脂肪の分解産物に作用して、小腸から吸収しやすい状態を作っています。
そのため脂質の消化・吸収には必要不可欠の働きをします。

さらに肝臓は糖類・たんぱく質・脂質をはじめとする栄養素を
分解・合成・貯蔵の働きを行います。
消化・吸収された後の人体の化学工場となり、
肝臓は体の活動を円滑に支える臓器とも言えます。

東洋医学では「肝は疏泄を主る」とされています。
疏泄…①隅々までゆきわたる②円滑でよどみのない
意味を持ちます。
「肝」には気や血の流れを円滑に、かつのびやかにする働きがあります。
「イライラして胃が痛くなった」・「ストレスで食欲がない」など
肝の働きがのびのびしていることで、気も順調に巡り、精神も安定し、
胆汁の分泌もよく、胃腸の消化を助ける。
しかし肝の働きが悪くなると、気が滞り、精神不安(抑うつ傾向)、イライラしたり怒りっぽいなどの症状を発症し、胃腸の障害となります。

肝の働きは、各臓器がうまく働くように調子を整えていると言えます。
直接的ではなく間接的にバランスを整え、臓器が生き生きと正常に働くことを支えています。

そのため、右季肋部周辺の反応を診ることで
人間関係・環境の変化によるストレスが体の負担となり
「肝」の働きを悪くさせていると判断できる。

それが治療方針の選択となります。

ツボとしては

右不容(ふよう)・右期門(きもん)・右承満(しょうまん)
・右章門(しょうもん)・右季肋部周辺

 

 

 

 

2025年03月09日

腹診と腹治



「腹診」と「腹治」

「お腹を診て病気の状態を知る」

お腹を診ることを「腹診」「診腹」「按腹」などと呼びます。

腹診は中国ではあまり重要視されず

日本独自で発達をとげ、主に湯液(日本漢方)の診断として用いられる。

漢方理論の原則である、「虚・実」

●腹力が強いのか弱いのか

●押して抵抗の有無

●押して圧痛の有無

●腹壁が緊張しているのか、ふにゃふにゃしているか

●触ってくすぐったいのか無いのか

●拍動の有無

●皮膚がザラザラしているのか、べちょっとしているか

挙げればまだまだありますが

患者さんのお腹の所見を診ていきます。

上記の所見に従い、治療法が決まります。

例えば胸脇苦満

胸脇苦満(きょうきょうくまん)
両側の季肋部と脇腹、側胸部を含む範囲に出現するものがあります。
同部位に鈍痛や圧迫感を伴い、抵抗痛を生じる。
          ↓
ストレスを感じ体が緊張して、呼吸が浅くなっている状態
胃腸機能も低下している。
          ↓
自ずと経穴(ツボ)が決まる。

診断即治療

「目に見ぬことはいわず」

江戸時代 医師 吉益東洞先生の言葉であります。

患者さんに、「気の流れが悪い」「熱がこもっている」

「気が滞っている」などの言葉を言っても伝わらない。

お腹のこの場所が悪いから、体の状態がこうなっていると説明をします。

さらに、西洋医学の知識を含めて説明すると更に

分かりやすく養生の仕方までお話ができる

すばらしい診断方法であります。

すばらしい診断方法ですが

腹診だけに頼り過ぎても、病を見落とす可能性があるため

全身を観察し、さらに腹診をして、状態を細かく分けていく

どんな考えでも良い所と足らない所があります。

しかし、色々な方法を取り入れると本来の病を

見失い結果、患者さんの体は変わらない気がします。

基礎基本に忠実に、良い所を取り入れ

自分の治療方針を定めていく

守・破・離

次回お話したいのは
西洋医学と日本漢方の良いところを組み合わせた
私独自の考えであります。
しかし、この考えに至るのも
基礎があって日々の臨床から経験し
経験を積み重ね少しずつ分かってきた事であります。

 

 

 

 

 

 

 

2025年02月22日

話題の添加物について

昨今のニュースで取り上げられている

合成着色料「赤色3号」

米国は、発がん性の懸念があるとし、2027年に使用中止または

別の物に代替えすることを決めました。

一方、日本政府、日本の消費者庁は赤色3号に関して

健康上「問題ない」との見解を示しています。

人間の体内に微量の添加物を摂取しても

健康被害は出ないと発表しています。

赤色3号とは……石油などを原料に化学的に合成して作る着色料

「タール色素」の1つ。

食品などを鮮やかな赤色に見せる効果があります。

ガム、飴、お菓子、咳止めシロップ、栄養ドリンク、漬物、さくらんぼ等

多岐に渡る製品に含まれています。

私は、基本的に合成着色料の製品を避けています。

一番怖いのが、小さい子供が口にいれるお菓子に

多く使われていることが気になります。

幼少期の摂取により

「ADHD(注意力欠乏・多動症)」など行動障害に

関係があるのではないかと欧米諸国では注目が集まっていますが

研究で明らかになっていないため信憑性はありません。

着色料だけでなく様々な添加物についての議論がされ

添加物が人間の体に少なくとも影響を及ぼしていることは

間違いないと思われます。

しかし、食品添加物があるお陰で我々の食が保たれているのも

事実であります。

「あなたが今食べている物の中に石油が入っています」と言われたら

えっ??と思いませんか??

今回は合成着色料について話題になっていますが

日本では当たり前に使用されている

ショートニング・マーガリン・たんぱく加水分解物(インスタントラーメン等)

海外では規制されているが日本では認可されている

添加物も多々あります。

全て排除することは難しいですが

なるべく摂取の頻度を控えることは重要かもしれません。

2025年02月19日

ストレス過多の現代

時代の変化とともに

技術が進歩し、暮らしが楽になり、便利になる世の中ですが

日々、嫌な事件、ニュースが目に入ります

●アドレナリン過剰状態(交感神経優位)

●セロトニン不足(腸内環境の悪化)

上記の状態が習慣となり精神不安や情緒の不安定をもたらします。

常に興奮状態であるため

・動悸
・多汗
・睡眠障害
・疲労感(怠さ)
・焦燥感
・パニック障害

など多岐に渡る症状が発症します。
さらにアドレナリン過剰になると
甘い物が欲するようになり暴飲暴食に繋がり
やがて生活習慣病から糖尿病へと進行する恐れがあります。

セロトニンは、興奮状態を抑制してくれる神経物質になります。

しかし、腸内環境の低下により

セロトニン不足となると、暴走した体を制御してくれる
機能が上手く働いてくれません
更に腸内環境の悪化により
消化器疾患に悩まされ

日常生活を送ることも大変になる場合があります。

もし何となく該当されるかたは以下の栄養素・食事内容に

気をつけて頂きたいです。

①食物繊維をなるべく摂取する
水溶性・不溶性に分けられますが、まんべんなく食材を背摂取してほしいです。

②血糖コントロール
血糖値が急激に上昇する食べ物(お菓子・菓子パン・飲料水)を
常時摂取すると、精神不安が出やすくなるため注意が必要です。

③マグネシウム
リラックスを促進する神経伝達物質の生成を助ける役割を担っています。
これによりストレスや不安感を軽減し、安眠をサポートする働きがあります。

この栄養素が必須であると言いたいですが
人間の体は、様々な栄養素によって機能が保たれています。
色々な食材から、生活スタイルに合わせて食事の回数を摂取することを
オススメします。

 

2025年02月17日
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