「過敏性腸症候群(かびんせいちょうしょうこうぐん)」”IBS”とは
胃・腸そのものからは特定の病気・炎症・異常所見が見つからないもので
急な下痢・腹痛及び慢性の便秘を引き起こす病気の総称です。
現在も、なぜ症状が起こるのかは、はっきりとした原因はまだ解明されいません。
過敏性腸症候群の患者さんの多くにみられるのは
・「仕事や学校の通勤・通学時」
・「大事な用件,仕事の際」
・「人混みの中」
・「緊張が高まる際」
・「長時間の座位」
・「ガス漏れが気になる」等
急にお腹が痛くなったり、お腹がくだってしまうケースがあります。
20代後半~40代半ばの男性に発症するケースが多い傾向でしたが
近年では女性の患者さんも増え、10代の男女でも発症するため幅広い年齢層でおこりやすく
生活に支障をきたしやすいため、とても辛い症状の一つになります。
急な下痢や慢性的な便秘そのものは「セロトニン」という物質が腸の壁を通して分泌されることで
腸の運動,消化吸収の作用に影響することが、直接の原因ではないかと言われています。
セロトニンは別名「5‐ヒドロキシトリプタミン」とも呼ばれます。
人体のあらゆる場所に存在し、消化管粘膜に約90%近く存在します。
セロトニンとストレスが大変密接な関係であるため、過敏性腸症候群にも
何かしらのストレスが深く関わっていると考えられています。
~症状別タイプ~
- ●下痢型…突然腹痛が始まり、水状・泥状の下痢症状が起こるタイプで
若い男性に多くみられます。
- ●便秘型…排便はあるも残便感、硬い便、コロコロした(兎糞状)形状の便となり
女性に多くみられます。
- ※過敏性腸症候群の患者さんの大半は、下痢型あるいは便秘型に分類されますが両方の症状が併発したり下痢と便秘を交互に繰り返し発症する「混合型」も存在します。
- ●ガス型…おなら(臭いを伴う)が非常に出やすくなり、時には自覚なくおならが漏れてしまうこともあります。腹部の張り、異常な「腹鳴」等がみられます。
過敏性腸症候群を疑う前に、腸全体の健康状態を調べる必要があります。
腹部レントゲン検査(X線検査)や腹部CT検査、大腸内視鏡検査などを行い
潰瘍性大腸炎・クローン病・大腸憩室・大腸ポリープなど重篤な処置を要する病気でないことを
早期に検査することも重要と考えられます。
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よくみられる症状
- 長時間続く腹痛
- お腹の不快感
- 繰り返される下痢,便秘
- 腹部の張り・排便時の痛み
過敏性腸症候群の症状は下痢・便秘・腹痛などで比較的軽視される事が多いと思われますが
治療せずに放置してしまうと、重大な合併症を招く恐れがあるため決して
軽視できる疾患ではありません。
過敏性腸症候群の発症原因はまだ明確となっておりませんが
精神的ストレス、環境、飲食物の不摂生、遺伝が過敏性腸症候群の発症に深く
関わっていると考えられます。
精神的ストレスや不安、不摂生な生活が長期間続くことで交感神経・副交感神経のバランスが
乱れることで腸管の機能異常により、蠕動運動のリズムが崩れてしまいその結果
便通異常(下痢や便秘)を始め腹痛、腹鳴、腸管ガス貯留などを引き起こします。
①精神的ストレスや緊張による
②環境・気候
③飲食物の不適
④胃腸の虚弱
①精神的ストレスや緊張(肝脾不和)実証・虚証
ストレスや緊張などが長期間続くことで、ストレスが内に鬱って発散されず
腸の正常な状態を保持できなくなり腹痛、下痢、便秘、腹満等の胃腸症状を生じます。
②環境・気候
季節の変わり目・天候不順・生活環境の変化(職場・学校・転居等)などにより
身体が変化に対して対応できないため、身体のバランスが乱れ不調を伴います。
バランスが乱れたままの生活が長引くことで胃腸機能に負担がかかり
悪心、嘔吐、心窩部痛、下痢、腹鳴などの症状を生じます。
③飲食物の不適
暴飲暴食・刺激性食品・脂っこいもの・冷たい飲食物・アルコールの摂取が過多に
なることで腸内環境(腸内細菌叢)が乱れ、消化管の消化、吸収、蠕動運動の
消化管機能異常がみられます。
急迫した下痢、腹痛と下痢が交互に起こる、粘滞性による排便、肛門周囲の灼熱感などを生じます。
④胃腸の虚弱
生まれつき胃腸虚弱あるいは、慢性の病による体力減退による消化管機能低下。
通常では十分に耐えられる程度のストレスや刺激に対しても腸管が過剰に反応しやすいため
消化機能や運動の異常を起こしやすくなる。