呼吸について#5

腎は西洋医学と同じく、体液の調節をする働きに加え、東洋医学では生命力そのものを
貯蔵するという大切な役割を担っている大切な臓器です。
腎とは生命力の源泉であり、人の発育成長をコントロールし、日々生きていくための
活力を与えています。

その働きの中で、深い呼吸(吸気)に関与します。
肺の深呼吸は、腎によって与えられるとされ、これを腎の納気作用と言います。
ご年配の方ですぐに息が切れてしまう人は腎の精が不足し納気作用が低下したため
症状が発症すると考えられています。

納とは固摂・受納の意味があります。腎が納気作用を主るのは肺から吸入された清気を
臍下丹田(腎)まで取り入れて、精を元気に変え、これを活性化する。
腎の納気作用がなければ、呼吸が浅くなり、体内外の気体交換も異常となります。
呼吸運動は主に肺によって行われますが、腎の納気にも頼っています。
腎の納気作用があって始めて呼吸機能のバランスが調節されます。
腎の納気作用が弱くなると、気短(呼吸が短くせわしいこと、息切れ等)及び喘息症状が発症しやすくなります。これを”腎不納気”と呼んでいます。

ここまで、呼吸機能のから浅い呼吸によって人体に影響する内容を書いてきました。

現代人は頭を使い、体を動かすことが影響し呼吸機能が低下しやすくなっています。

実際、患者さんの多くも頭ばかり興奮し(頭に血が上る)末端は冷え呼吸が浅くなり
肩・頸・背中に板が入っている硬さをお持ちの方がいます。
腰痛で命を落とす確率は少ないと思われますが、肩こり・首こりは命を落とす重篤な病気を発症する場合があるため日々無意識に行っている呼吸運動ですが今一度意識することで
健康な体作りの一つになるのかと思います。

2023年10月17日