前回の内容に引き続き、少し深堀して話をしていきたいと思います。
パーキンソン病は主に「肝」・「腎」・「脾(胃腸)」のバランスが乱れることで
病が発症すると考えられます。西洋医学で使われる肝臓、腎臓、脾臓とは考えが異なりますので、そんな考えもあるのかという程度で読み進めて頂けると幸いです。
肝の働きと性質
①疏泄作用
1.全身の機能を調節している
※疏泄作用が正常であれば全身の気血の流れがスムーズになり臓腑・器官も正常に活動する。
正常な働きができなくなると気が渋滞し、熱を生じる。
2.胆汁を分泌排泄、解毒作用に関与する
※現代医学の肝臓の働きと似ていると思われます。
3.気をスムーズに巡らせ、体をのびのびした活動へと導く働き
※感情の調節をしている。
②血を貯蔵し調節をする作用を持つ
※全身の正常な活動に合わせて必要な血液を供給している
③肝は筋を主る。
※ここでの筋とは運動に関与する部分である、末梢神経・腱・筋肉の収縮や運動は
肝の働きによって行われると考えられる。
腎の働きと性質
①生命力に関与し、生命力の源です。(精を蔵する)
※各臓器にエネルギーを与え、各臓器の活動に影響します。
②体液調節作用(浮腫み、夜間尿、排尿困難)
③深い呼吸に関与する(納気作用)
④腎は骨を主り髄を生ず
※骨・髄・脳は腎が関与する考えられています。
腎気(精)の盛衰と密接な関係があるため、腎機能の低下は
人の思考力が鈍くなりやすく、手足の器用な動きが鈍く作業能力が低下します。
脾の働きと性質
①消化と吸収
※人間の成長・発育・生命を維持するために必要なエネルギーを
消化・吸収された後、肺と肝、筋及び血脈など全身に送り出す。
エネルギーを身体のすみずみまで巡らせるため、筋に張り(元気)を与える。
栄養の巡りが悪くなると、肉付きが痩せ、四肢無力の症状が出やすくなります。
パーキンソン病のタイプ
・脾胃虚弱・・・
胃腸の消化・吸収機能が低下しているため
栄養が身体に入りづらいため、筋脈・肌肉に十分な栄養が行き届かなくなり
次第に、運動障害が起こる。
↓
慢性的に消化器官が弱くなり、消化・吸収・運搬機能が低下することで
少し食べるだけでお腹がいっぱいになる方、食欲が衰退している人の中には
顔の血色が悪かったり、頭がボーっとして立ち眩みや貧血症状
更に症状が進行すると体の皮肉が瘦せ細り、少し体を動かすだけで倦怠感・疲労感
動悸等を発症する人がいます。
このように栄養が慢性的に入りづらい状況が長引くと、正常な精神活動に必要な
「血」が少なくなり、精神の不安定・衰弱など心血不足症状が発症しやすくなります。
脾気虚 → 血の不足 → 心血虚
※様々な影響が体の負担となるためあくまでの簡単な流れとなります。
・肝腎陰虚…過労・老齢・慢性疾患などで体の体力が消耗することで
肝(血)の不足と腎(精)の不足が起こることで筋・骨が滋養できなくなり
ふるえなどが発生します。
ふるえ以外にも腰や膝の衰え・耳鳴り・難聴・手足のほてり・寝汗・目のかすみ・めまい・排尿機能減退・などの症状も現れます。
「肝血の不足」・「腎精の不足」} 「精血不足」 → 「肝腎陰虚」
↓
さらに病態が進むと
「肝腎陰虚」→陰虚がすすみ心に負担がかかる→「心火亢進」
心陰がすすみ心陽を抑制できなくなり、不眠・多夢・精神不安定・動悸・息切れなどの症状が現れます。
・肝陽化風…陰(血)・陽(気)は常に体内でバランスを保ちながら
正常な、生理機能を営んでいます。しかし、過剰なストレスによって
陰(血)が不足し相対的に陽(気)が旺盛となるため体のバランスが乱れ
様々な症状を発症する。
「肝気鬱結」→「肝陽上亢」→「肝陽化風」の流れで体のバランスが乱れます。
ストレスによって肝の働きである「疏泄作用」が正常に働かなくなると
肝気の激しいうっ滞が体内でおこり、気の渋滞が発生します。
さらに状態がすすむと「火」に化して肝火の上炎が起こります。
ストレスが溜まりイライラした・目の充血(目赤)・ふるえ・精神不安・不眠の症状が
現れます。