私が「鍼灸師になろう」と決意するまでには、
いくつかの出会いと、心に残る体験がありました。
その始まりは、中学時代のケガでした。
私は学生時代、陸上競技に熱心に取り組んでいました。
毎日の練習に励む中、ある日ケガをしてしまい、
思うように走ることができなくなってしまったのです。
焦りと不安の中で過ごしていたある日、顧問の先生がこう言いました。
「近くに鍼灸院があるから、行ってみたらどうだ?」
実を言うと、それまで私は「鍼灸(しんきゅう)」という言葉さえ知りませんでした。
鍼って痛そう…というイメージしかなく、不安もありましたが、
「このままじゃ大会に出られない」という思いの方が強く、
思い切って受診してみることにしました。
初めての鍼灸治療は、想像していたような痛みもなく、
むしろ身体の深部にじんわりと広がるような温かさと軽さを感じました。
2〜3回通ううちに、痛みが和らぎ、身体が回復していくのを実感。
そして、諦めかけていた大会にも出場することができたのです。
その時から、「鍼灸ってすごい」「自分もこんなふうに人を助けられたら」
漠然とですが、将来「オリンピック選手のトレーナーになりたい」と思うようになりました。
さらにそんな思いが強くなったのは、高校生になってからのことでした。
ある日、たまたま書店で手に取った陸上雑誌の特集記事に、
有名なアスリートに鍼灸師の資格を持つトレーナーが
帯同しているという内容が紹介されていました。
「あっ、鍼灸だ!」
その瞬間、中学時代の経験が一気によみがえり、「これだ」と直感的に思いました。
自分を支えてくれた鍼灸を通じて、今度は誰かの支えになりたい。
そう強く思ったのです。
「オリンピックのトレーナーになる」という憧れが、
「鍼灸師として、アスリートを支えるトレーナーになる」という、
具体的で現実的な将来の目標へと変わったのです。
「自分も、鍼灸師としてトレーナーの道を歩みたい」。
そう心に決めたのは、高校3年生の夏。迷いはありませんでした。
次回は、鍼灸師を目指して歩んだ学生生活について、
どんな学びや経験があったのかを綴っていきたいと思います。