一般的に「扁桃腺」と呼ばれているものは、
医学的には口蓋扁桃と呼ばれるリンパ組織です。
口蓋扁桃は、口や鼻から侵入する細菌やウイルスを感知し、
身体を守る免疫機能の一部を担っています。
しかし、
・睡眠不足
・過労
・精神的ストレス
・風邪
・生活習慣の乱れ
などによって身体の抵抗力が低下すると、
口蓋扁桃そのものに炎症が起こることがあります。
これが扁桃炎です。
主な症状として、
・喉の痛み
・発熱
・飲み込み時の痛み
・首のリンパ節の腫れ
・全身倦怠感
などがみられます。
炎症が強くなると水分や食事が摂れなくなることもあり、さらに扁桃周囲炎や扁桃周囲膿瘍へ進行する場合もあります。
高熱が続く場合や強い嚥下痛、呼吸苦を伴う場合には耳鼻咽喉科での診察が必要です。
また慢性的に扁桃炎を繰り返す方では、
睡眠不足、ストレス、喫煙、飲酒、口腔内環境なども発症に関与すると考えられています。
扁桃炎とは?
西洋医学 扁桃炎治療
扁桃炎の治療は、炎症の原因や症状の程度によって異なります。
多くの場合、細菌やウイルスによる感染が原因となるため、
まずは耳鼻咽喉科で適切な診断を受けることが大切です。
また、扁桃炎は薬だけで治すものではなく、十分な休養と生活管理も重要になります。
●薬物療法
急性扁桃炎では、原因に応じて薬物療法が行われます。
ウイルス性扁桃炎
風邪などに伴って起こる扁桃炎では、ウイルス感染が原因であることが少なくありません。
この場合、抗生物質は効果が期待できないため、
・解熱鎮痛薬
・消炎鎮痛薬
・うがい薬
などを用いて症状を和らげる対症療法が中心となります。
発熱や喉の痛みが強い場合には、内服薬だけでなく坐薬が使用されることもあります。
細菌性扁桃炎
溶連菌などの細菌感染が原因の場合には、抗菌薬(抗生物質)による治療が行われます。
抗菌薬を服用すると数日で症状が軽くなることが多いですが、
その段階では細菌が完全にいなくなったわけではありません。
自己判断で服用を中止すると再発の原因になるだけでなく、
溶連菌感染症では急性糸球体腎炎やリウマチ熱などの合併症を引き起こす可能性もあります。
処方された抗菌薬は、医師の指示通り最後まで服用することが大切です。
点滴治療
症状が重く、
・食事が摂れない
・水分が飲めない
・高熱が続く
といった場合には、脱水予防や栄養補給を目的として点滴治療が行われることがあります。
重症例では入院加療が必要になることもあります。
●扁桃周囲膿瘍に対する治療
扁桃炎が悪化すると、扁桃の周囲に膿が溜まる
「扁桃周囲膿瘍」を形成することがあります。
この場合は、
・強い喉の痛み
・口が開きにくい
・唾液も飲み込めない
・発熱
などの症状がみられます。
膿が形成されている場合には、抗菌薬だけでは改善が難しく、
耳鼻咽喉科で切開や穿刺による排膿処置が必要になることがあります。
●扁桃摘出術(手術)
慢性的に扁桃炎を繰り返す場合には、口蓋扁桃摘出術が検討されます。
一般的には、
・年に3~4回以上扁桃炎を繰り返す
・扁桃炎になるたびに高熱が出る
・内服薬では改善せず点滴治療が必要になる
・扁桃周囲炎や扁桃周囲膿瘍を繰り返している
・扁桃肥大による睡眠時無呼吸症候群がある
などの場合が対象となります。
通常は全身麻酔で行われ、手術によって扁桃炎の再発を大幅に減らすことが期待できます。
● 手術を受けるかどうか
手術適応の基準はありますが、
最終的には扁桃炎が日常生活へどれほど影響しているかが重要になります。
たとえ年に1~2回の発症であっても、
・仕事を休まなければならない
・学校生活に支障が出る
・毎回高熱で寝込んでしまう
といった場合には、手術を選択する方もおられます。
反対に、回数が多くても症状が軽く、
日常生活への影響が少ない場合には経過観察となることもあります。
手術の適応については、耳鼻咽喉科専門医と十分に相談しながら判断することが大切です。
東洋医学からみた扁桃炎
東洋医学では、扁桃炎を単なる感染症としてだけではなく、
『なぜ繰り返すのか』
という視点から考えます。
同じような環境で生活していても、
扁桃炎を何度も繰り返す方と、ほとんど発症しない方がおられます。
東洋医学では、その違いを体質や身体全体の働きの違いとして捉えます。
まず重要になるのが、
「喉は腎の苗」
という考え方です。
ここでいう「腎」とは腎臓そのものではなく、
・回復力
・抵抗力
・生命力
・成長や老化に関わる力を含めた東洋医学独自の概念です。
慢性的に扁桃炎を繰り返す方では、
この腎の働きが低下していることが少なくありません。
疲労や睡眠不足によって悪化しやすい方では、
まずこの回復力そのものが弱っている場合があります。
さらに慢性的な扁桃炎の背景には
「炎症を起こしやすい体質」が存在すると考えています。
細菌やウイルスだけでなく、
・花粉やハウスダストなどのアレルゲン
・精神的ストレス
・慢性的な疲労
・気候や季節の変化
なども身体にとっては刺激となります。
これらの刺激に対して身体が過敏に反応すると
喉の炎症を繰り返しやすくなります。
東洋医学では、この状態に「肝」の働きが深く関与していると考えます。
ここでいう肝とは肝臓そのものではなく
・身体の調整機能
・ストレスへの適応力
・炎症を鎮める力
・解毒作用
などを含めた概念です。
「肝」の解毒作用が低下することによる
細菌やウイルスだけでなく、
疲労やストレスといった刺激に対しても
過敏に反応しやすくなると考えています。
さらに当院では
「胆」や「三焦」の働きも重要であると考えています。
東洋医学では胆や三焦は、
・熱の巡り
・水分代謝
・身体全体の調整
に関与するとされています。
これらの働きが乱れることで、
炎症が長引いたり、繰り返しやすくなったりすると考えています。
慢性扁桃炎鍼灸治療
当院の考える扁桃炎の背景
慢性扁桃炎を繰り返す方では、
腎(回復力・抵抗力)
↓
肝(解毒作用・調整機能)
↓
胆・三焦(熱や水分の巡り)
↓
喉の炎症
という流れで身体全体を捉えています。
そのため当院では、
「喉だけを治療する」のではなく、
「炎症を繰り返しやすい身体全体の状態を整える」
ことを重視しています。
当院のお灸治療
当院では、慢性的な扁桃炎に対してお灸を重視しています。
お灸には、
・身体を温める
・血液循環を促す
・自律的な調整機能を整える
・回復力を高める
ことが期待できます。
東洋医学的には、
お灸
↓
胆・三焦を整える
↓
肝の働きを助ける
↓
腎の回復力を高める
という流れを大切にしています。
もちろん急性期の強い炎症や高熱に対しては、まず医療機関での治療が優先です。
そのうえで、
・手術を勧められている
・手術はできれば避けたい
・季節の変わり目に悪化する
・疲れると喉が腫れる
・何度も扁桃炎を繰り返している
という方は、一度ご相談ください。
当院では「なぜ繰り返すのか」という視点を大切にしながら、
身体全体をみて施術を行っています。